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「学校飼育」について

文部科学省が初等教育の学習指導要領において、 動物の飼育について触れるようになってから、
「心の教育」と称して小動物を飼育する小学校が増えています
学校で飼育されている動物たちと触れ合い世話をすることは、子供たちの心の成長にとって 意味のあることだと思います

しかし、せっかく飼育をしていても、正しい触れ合い方を知らなかったり、 飼育環境を整えていなかったりした結果、動物がひどい目にあわされ、子供の心も傷つけてしまうこともあります
なぜそうなってしまうのか、解決するのにはどのようにすれば良いのでしょうか? ペットを飼っている立場から考えてみたいと思います



1.こどもと動物

皆さんが子供だった頃に、学校や家庭で動物を飼育していましたか?
私が通っていた小学校では、当時ニワトリを飼育していました。実は、その中の1羽はうちで飼っていたものです

買ってきたヒヨコを自宅で育て、大きくなってしまい小学校へもらわれて行きました。 その頃は、普通の商店や夜店でヒヨコを良く売っていましたので、もしかすると、学校にいた他のニワトリも、 よその家庭で飼われていたのかも知れませんね

小学校には飼育当番もありましたが、当番以外の時でも、菜っ葉や餌になりそうなものを持って行き、 世話をした記憶があります

−以前はうちにいたんだ−

そのような気持ちもあってか、多少なりとも責任感(らしきもの)が、あったのでしょうね

自宅でも、生き物を飼育した経験はたくさんあります。当然、悲しい別れなども経験して、子供なりに多くのことを学ばせてもらいました
皆さんも、飼っていた生き物から教わったものは多いのではないでしょうか


2.学校の動物たち

文部科学省の学習指導要領には「生命の尊さを感じ取り,生命あるものを大切にする」と書かれています
また、学校で動物飼育が行われていれば、家庭で動物を飼っていない子供にとって、 いちばん身近な動物になるでしょう
子供たちがその動物たちと触れ合い、世話をすることによって、動物を可愛がる優しい心、 命の尊さや責任感なども学べることと思います

しかし、それは学校に「動物に対しての知識」と「しっかりした飼育体制」が備わっていて、 先生が子供たちにそれらを正しく伝え、動物たちを管理できることが条件だと思います

では、動物たちを管理するとはどう言うことでしょうか、具体的に考えてみました
・正しい接し方
・適切な水や餌
・温度などの管理
・掃除
・繁殖管理
・怪我や病気の対応

ここでは飼育舎や多種動物の飼育のことまでは考えていませんが、ペットを飼っていらっしゃる方は 「?」と思われるでしょう
そう、皆さんからすれば、すごく当たり前で日常的に行っている事柄ばかりですね

そうなんです。学校が皆さんと同じ考えを持って管理ができていれば、特に問題は起きないと思われます

でも残念ながら、学校で虐待ともとれる現場を見て、心痛めている方たちもいらっしゃいます
この件は後でご紹介したいと思います

ちなみに、学校ではどのような動物が飼われているのでしょうか?
学校飼育は今まで、ニワトリなどの鳥類やウサギを飼育することが多かったようですが、 最近ではハムスターやモルモットの飼育も増えているようです
特にモルモットは確かな入手先(実験動物ブリーダー等)もあり、表現豊かで性格がおとなしい等の理由から 飼育する学校も多くなりました


3.ある小学校にて

現在、CavyPageでは、ある学校で飼育されているモルモットの飼育環境を改善してもらうため、 微力ながらお手伝いさせてもらっています

それは、いつもこちらに来ていただいている方の、お子さんの小学校で飼育されているモルモットの 悲しい話から始まりました。2000年の年末の事です

用事で小学校へ行かれたときに、ふと覗いたモルモットの飼育ノートの内容からでした。 そのノートは飼育係の子どもたちが書いているもので、中には12月の急な冷え込みのせいか、 モルが次々に死んでしまった悲しい内容が書かれていたそうです
帰り道には真冬の風が吹き抜ける飼育舎の中で、ひたすら寒さに耐えているモルの姿がありました

この投稿後、私たちが行動を始めたのは年が開けてからでした。秋には15匹ほどいたモルは、 このときすでに2匹になっていたそうです
しかし、その方の努力と皆さんの協力によって、学校の対応も少しずつ良くなり、この2匹のモルたちは 無事に春を迎えることが出来ました
この頃の掲示板のやりとりは「過去ログ」で見ることが出来ます (関連したものを抜粋してあります)

ここまでは2001年の春までの出来事です。

しばらくの間平穏だと思っていましたが、残ったモルモット2匹が「つがい」だったため、 子供が増えてしまいました。そして、その中にウサギ1羽が同居している等、 夏になって再び問題が起きてしまいました
また、以前からの餌の問題も改善されていなかったようすです

これらは、時間を見つけてこちらでご紹介しようと思います。この記事が一日でも早く 「ある小学校での改善例」として紹介できるように願っています


4.動物の命を預る者として、

学習指導要領には、『生命の尊さを感じ取り,生命あるものを大切にする』と書かれています

ペットを飼っている私たちからすれば当たり前のことですが、飼育動物のトラブルを抱えている学校では、 動物の世話を子どもたちに任せきりにして、先生たちは飼育に無関心、飼育舎にも見に行っていないで、 餓死や凍死させると言うことすら起こっています
同時に飼育している動物についての知識もなく、古くから続く「語り継がれた飼育方法」と 「先生自身の価値観」で飼育方法を決めてしまい、病気や怪我をしている動物も病院すら 連れていかない学校もあるようです。学校に通う子どもたちや父兄が、見かねて重症の飼育動物を 獣医師に連れていく話も何度か聞きました

本来、子どもたちに命の大切さを教え、飼育に対して監督責任のある立場の先生が、 忙しいなどの理由により飼育に参加せず、動物を傷つけ、その結果子どもの心も傷つけていることに、 気がつかないようです
このような状況で、子どもたちに命の重さや大切さ、それに動物の愛らしさが正しく教えられるのかも疑問です

一度、餌や水を満足に与えられなかったり、病気や怪我で放置される動物たちの身になって、 動物たちの命を預かっているという自覚を、すべての学校で忘れずにいていただきたいと願います


5.小さな幸せ

今まで書いてきた不幸な話は他にもたくさん聞きますが、そんな不幸な話しばかりではありません。 他の学校もお手本として頂きたいような、学校飼育のとても良い例があります

それは、筑波大学付属小学校でモルモットを飼育した「森田学級」のお話です。こちらはとても良い内容で、 動物を飼育することについて、改めて考えるキッカケも作ってくれました

森田学級のお話は「子どもと動物、特に学校での飼育について」の中で 読むことが出来ます。今回は、このお話を書かれた中川さん*のご好意により、CavyPageに 掲載させていただきました。学校飼育に関して、あまり興味をお持ちでない方も、 ぜひこちらだけはご覧になってみてください

また、以前に中川さんの講習会に参加したときに、森田学級の様子をビデオで見せていただきました。 子どもたちとモルモットのふれあう姿や先生のインタビューなどを紹介していますが、 その中でも週末にモルモットを家庭に連れ帰るため、モルの入った移動用ケースを大切そうに抱えて下校する 子供たちの姿が印象的でした
こちらも機会があれば皆さんや学校の先生方にも見ていただきたいと思います。このビデオ 「学校飼育動物と児童」は中川さんのHPで紹介されています

*中川さんは獣医師であり「日本小動物獣医師会学校飼育動物対策委員会副委員長」及び 「全国学校飼育動物獣医師連絡協議会」の主宰をされています。また、学校飼育動物に関しての多くの 本やマニュアルも出されていて、 HPの「 学校飼育動物を考えるページ」でも活躍されています


6.学校によって違う飼育方法

ふたつのお話を紹介しましたが、その内容は対照的でした。同じ小学校なのに、 なぜここまでの違いになってしまうのでしょうか

わたしは根本的に、「先生や学校の考え方、理解度」にあるのではないかと思っています

特に森田学級では、クラスで飼育するにあたって、子供たちと父兄、それに獣医師まで参加する 話し合いの場を用意しました
これは、
・先生が動物やその飼育方法に前向きな考えを持っている
・父兄を交えた話し合いの機会を作り、新しい飼育方法を認めた学校の対応
などがあって初めて出来たことではないでしょうか


しかし多くの学校では、もとから飼育されている動物を、前任者から「引継ぎ」という形で 新しい先生が担当者になります
新しく飼育担当になった先生は
・仕事だから仕方がないと言う消極的な気持ち
・動物に関心がない
このようなことが原因となって、問題が発生してくるのではないでしょうか
また、飼育担当の先生が、ご自分から進んで担当者となったり、動物に感心があるときは少しは 良いようにも思えますが
その方が飼育に改善の必要を感じたとしても、予算の問題や改善提案が出し難い学校の雰囲気などがあり、 改善に対して消極的になってしまうか、または一人で飼育の責任を背負ってしまう可能性も あるのではないでしょうか

いっぽうの森田学級では、獣医師の協力と父兄の理解によってモルモットを教室内で飼育することになり、 子供たちもよりいっそう動物たちを身近に感じ、皆が責任を持って積極的に飼育や世話をするようになりました


7.解決に向けて

「ある小学校にて」にご報告したように、まだトラブルは解決していないので、 あまり参考にならないかも知れませんが
いままで活動した中で、感じたことや効果的なことをまとめてみました
活動自体が大変な時間と労力が必要となりますが、焦らずに少しずつでも解決に向かうよう行動していきましょう

・とにかく学校にアピール
学校で飼育している動物のことを第三者が気に掛けていることを伝えます。学校側に「誰かに見られている」 と言う意識ができれば、動物たちに対して多少なりとも関心を持つようになるでしょう

もし、あなたのお子さんが通われている学校であれば、学校へ行って動物たちの世話の お手伝いをしても良いでしょう。先生方とコミュニケーションが取れるようになれば、少しずつでも飼育の 改善は期待できます

それ以外でも、その学校の飼育担当の先生をご存知ならその方でも結構です。直接言える方は (勇気が必要ですが)先生とお話してみてください。その先生が学校飼育に対して疑問を持っていたならば、 あなたの行動が改善のキッカケになるかも知れません

また、何かの事情でそこまでできない方や、学校との繋がりがない方は、電話や手紙などでこちらの意思を 伝えてみてください
学校名しか分からないときは「教育関係の検索サイト」 から各地の「教育委員会のホームページ」や、小学校を検索できます
また、「地方自治体情報センター」 のNIPPON−Netから、各自治体のHPへ行き、学校検索して調べることもできます
学校によっては、Eメールアドレスを公開している所もありますので、 そのときはぜひメールを利用してみましょう
宛名は学校長と動物飼育担当者として、それぞれに送付すると安心です
内容は実際に見かけた悲惨な状態と、どのようにすれば防ぐことができるのかなどを簡潔に、 改善して欲しい箇所を具体的に書きます。できれば客観的な内容にして、「〜の飼育書によると」等を 書きそえると良いでしょう
(作った原稿を保存しておくと、後々便利です)

飼育書をお持ちでない方は、東京都獣医師会HPの 学校飼育動物やpet-vetのPet Lovers' Forum
また、海外のHPでは、ワシントン大学NetVetの Electronic Zoo−Animals−Rodents−Guinea Pigsや モルモット団体のACBAの Cavy Care Articles−The Pet Cavyなどで飼育方法を紹介していますので、参考にされるのも良いと思います
以前に作った飼育方法(概要)もありますので、良ければ活用してください

個人で学校へ要望しても、小学校の先生方の飼育に対する考え方は変わらないことが多いと思います。 学校から満足する回答すら貰えないときもあるでしょう

しかし残念に感じる必要はないと思います。自分の要望が学校に受け入れられることよりも、 自分の気持ちを学校へアピールして、学校関係者以外の人も、飼育動物に関心を寄せていることを理解して もらうことが大切だと考えてください

同時に、なるべく多くの方面で発言して協力者を求めることも大切です

・協力者を探して
 いったいどのような人が協力者となるのでしょうか

個人での行動は限界があります。また、学校へ要望をするのにも、一人より複数の賛同意見があれば 効果的なことでしょう
手紙、メールや掲示板を使って探してみてください。あなたの近くにも、きっと協力してくれる人が いると思います

同じ地域のペット飼いさんなら、一緒に行動をしてくれるかも知れません。遠くに住んでいるかたでも 何かの形で力になってくれるでしょう
問題や悩みを共有することによって、気持ちも楽になると思います

それと、獣医師や獣医師会にも相談します。理由は、学校に飼育動物のアドバイスや診断ができる点で、 獣医師さんの協力が必要だからです
「学校飼育動物を考えるページ」でもお分かりのように、現在いくつかの地域では、 自治体と獣医師会が連携を取り、学校飼育動物のサポートをする「学校獣医師制度」が進んでいます。 そして少しずつですが、その制度が全国へ広がりつつあります
この制度は私たちと無関係のように思われがちですが、新しい地域に制度を伝えるのに、 個人の同じような相談がキッカケになることもあります
ただ、自治体と獣医師会が連携を取っている地域はまだ少ないです。あなたの地域の獣医師会などが、 自治体や学校と連携を取れる体制になるまでは、時間がかかることもあるでしょう。焦らずに取組んで行きましょう

はじめに、お住まいの地域の獣医師会を「 日本獣医師会のHP」の獣医師会とは?−日本獣医師会の組織と沿革− 会員名簿で 探してみてください
なければ動物病院検索や タウンページなどで、学校の近所の動物病院を探します
(獣医師会の場合はホームページやEメールアドレスを公開している所も多いので、メールで連絡できるようです)

手紙やメールに、学校に送付した手紙の内容や「学校獣医師制度」のことを添えて、 協力していただけるか相談してみましょう
また、獣医師会等から学校や動物のことについて質問をしてくるときもありますので、 今まで見てきた学校の動物たちのことを、メモで残しておくと便利です

もし、獣医師会から良い返事をもらえない時は、 「 学校飼育動物を考えるページ」の掲示板かメールで相談してみてください。 あなたの地域の獣医師さんを紹介してもらう等、解決に向けてのアドバイスがいただけると思います

その他にも、協力してもらえる人とつながりを持つための方法はあると思います。私も今後活動を続けて、 良い結果があれば
こちらで報告していきたいと思います


ペットとして小動物を飼育している皆さんからすれば、学校にいる動物たちが、 どんなにひどい飼育環境に置かれているか、少しだけ分かっていただけたと思います。出来ることなら、 そのすべての飼育動物たちが恵まれた飼育環境で暮らせるように願っています 


ご意見などがありましたら、お気軽に掲示板を 利用してください



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