強制給餌について
以前、強制給餌を経験したときに「給餌は思っていた以上に時間が掛かる」と感じました
同じように思っている方も多いのではないでしょうか
まして「愛モルが病気になってしまった」という気持ちの時に負担が増えると、飼い主さんにとって
体力・精神的にストレスが増して、とても辛い状態です
そのストレスを少しでも軽減するためにも、「強制給餌に要する時間を短縮させるためにはどうすれば良いのか」を
まとめました。このページを読まれて、少しでも飼い主さんの負担が軽くなれば幸いです
また、「口内のトラブル」以外で、自分で噛むことが出来る状態のモルに対しては、強制給餌以外にも
自力で食べてくれそうなものを探して、少しずつでもモルに「自力で食べてもらう」ようにしてあげてください
(あわせて、病気・怪我の下痢の項も参照してみてください)
できれば、今までに強制給餌の経験がない方も、時間を作って「強制給餌」を経験しておくのも良いかも知れません
強制給餌に要する時間は、「モルが食餌をしている時間」と「その食事を用意する時間」の2つに分けて見ました
1.モルが食餌をしている時間について
モルモットの口内は非常に小さいため、1回に与える量も少しずつです。また、味が気に入らない時には
1度口に入れても出してしまうでしょう
「食べ始めは良いのだけれど半量を食べたら飽きたみたいで・・・」と、言う事も実際にある話です
また、せっかく作ったのに全然食べてくれない場合は、、、最悪です
では、どのようにしたら良いのか?の前に、「最良」と「最悪」のパターンを考えてみましょう
そのパターンとは
・最良とは、例えば、注射器で与えた流動食などをゴクゴクと飲むように、すぐ食べてくれる
・最悪とは、せっかく作った食事を全然食べてくれない事です
最良に近づけば餌を与える時間が減るので、次の「流動食の種類」の中で、効果的だと思うものを
試してみてください。そして「うちの仔がよく食べてくれる」ものを探しましょう
また、「組み合わせ」と「複数のローテーション」によって、よく食べてくれる場合も考えられますので、
根気良く続けて効率の良い食べ方を探してみましょう
例えば・・
下の流動食の種類A:にE:のものを混ぜて与える「組み合せ(a)」
(a)を10cc食べさせた後にB:またはC:を与えてみる「複数のローテーション」
など、色々と工夫してみるのも良いかも知れません
流動食の種類(ペースト状または液状にしたものです、作り方は2.を参照してください)
A:ペレットをベースとしたもの(アルファルファベースのペレットで作ります:注1)
追加でペットミルクまたは乾燥アルファルファ(注2)を粉にしたものを混ぜ込む
または、レタスやパセリ/セロリ等の匂いのあるものを混ぜたり、糖分を少量加えて甘くしてみる
*最近はドラッグストアで「青汁ドリンク」や「青汁の原末」等の名称で粉末状のものが売られています(注3)。これを混ぜることにより、よく食べてくれますのでぜひお試しください
B:野菜をベースにしたもの
キャベツ/レタス/トマト/豆苗(注4)/コーン(生または茹でる場合でも嗜好が違うようです)
または、これに糖分を少量混ぜて甘くしたもの
C:果物をベースにしたもの
バナナ/リンゴ/ぶどう/みかん/いちごの季節毎の果物
E:その他
乳幼児用の離乳食/青汁/タンポポの葉/クローバー/生牧草
注1:国産のモルモット用ペレットはほとんどアルファルファベースです(ペレットの主成分欄に
「アルファルファミール」と書かれています)
注2:ペットショップやホームセンターのペットコーナーで「サラダ牧場」の商品名で売られています。
モルは通常、チモシーなどの稲科牧草よりもアルファルファのような豆科牧草の方を好むようです
注3:原材料にケールや大麦若葉などがありますので、それぞれで試してみると良いでしょう。また、
与えるときは与えすぎないように気をつけてください。人間の50分の1の量が目安です
注4:グリーンピースの苗で、スーパーの野菜コーナーで良く見かけ、繊維質が豊富でビタミンCが
比較的多く含まれています
※ビタミンCは、病気などに対する抵抗力をつける上で重要です。病院で、餌に対して特に指示のない場合は
ビタミンCは積極的に与えるようにしましょう
お腹にガスが溜まるなどの症状の時は、アルファルファなどの豆科の植物を与えると症状が悪化する場合が
あるため、事前に病院で相談される事をお勧めします
流動食を与えるときにはモルが暴れないように布袋などに入れて、「頭だけ」または「口だけ」出して
与えると良いようです
具体的には、袋に入れたモルをひざに載せ、片手で「上体と頭」または「上体と布袋の端」を持ち、
餌を近づけたときにソッポを向かないように保定します。もう片手(利き手)で餌を入れた注射器などを
持ち与えます
また、口からこぼれてもモルや周囲が汚れないように、タオルなどを敷くと良いようです
2.食事を用意する時間について
流動食を毎回準備するのは大変ですので、ある程度まとまった量を作り保存するようにします。
その時に重要なことは、素材ごとに作って給餌前に混ぜると言うことです
それぞれの割合を変えたり、組み合せを変えることが容易であると同時に、モルによって違う
「好き嫌い」で、せっかく作った流動食がムダになることを最小限に出来ます
もちろん、「好き嫌い」が把握できれば素材ごとに保存する必要は無いでしょう
・流動食作り
以前はペレットをお湯で柔らかくしていましたが、とても簡単で注射器が詰まらない方法がありましたので参考にしてください
ディスカウントストアや通販で「コーヒーミル」が売られていますので、1000-2000円程度のものを用意してください。下のは去年(2003年)にモコの看病のときに購入したものです
適量のペレットをコーヒーミルに入れて長めに砕きます。その後、写真ような網でふるい、下に落ちてきた粉末を集めます。網に残ったものは再度コーヒーミルに入れて砕きましょう。何度か繰り返すうちに、かなりの量の粉末が集まりますので、これを密閉容器に入れておきます
100円ショップで売られている
「アク取り」を使用していました |
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こうして用意した「ペレット粉末」に水や野菜ペースト、ジュース等の水分のあるもを混ぜ、青汁粉末を入れながら粘度を調節します
コーヒーミルを入手することが出来ないときは、強制給餌用の「クリティカルケアフード」を使用するのが良いと思います。リンクコーナーにある「小動物フードグルメ館」で購入することが出来ます
野菜ペーストを作る際、ジューサーやミキサーがあるのなら、ぜひ活用してください。
手作業よりも機械で一気に作った方が短時間で作れます
それ以外の場合では、果物なら「おろし器」ですりおろしましょう。葉ものやコーンなどの小さいものは
「すり鉢」などで潰します、前もって切り刻み、細かくしておくと潰しやすいようです
硬くて潰しずらいものは、電子レンジで加熱すると柔らかくなるので潰しやすくなるでしょう
出来あがった野菜ペーストは、そのままの状態ですと、「細かなカス」で注射器を詰まらせてしまいますので、
ガーゼなどに入れて搾り、「ろ過」をします
この「ろ過」して集まった「カス」も食べてくれることがありますので、捨てずに与えてみてください
・流動食の保存
材料ごとに冷蔵庫で「冷凍保存」するのが良いようです
便利な方法は、市販の「フリーザーバッグ」に入れるか、適当な大きさの平皿に「食品用ラップ」を敷き、
その上に流します、この時「凍ったときに板状になる」ようにすると、次に使うとき必要量を割って使えるので
便利です
(ラップは流動食にくっついてくる場合がありますが、解凍すれば容易に取れるので気にしないでください)
製氷皿に入れると小分けするのに便利ですが、材料によっては色や匂いが残ってしまう場合があるので
注意しましょう
また、製氷皿を使うときは冷凍庫に入れるときに「食品ラップ」などで包まないと、材料によっては冷蔵庫内に、
流動食のニオイが充満してしまうことがあるので気をつけましょう
次の給餌時間を見計らい、冷凍庫から必要量を出して自然解凍またはレンジ解凍をします
コーヒーミルで作った「ペレット粉末」は、密閉容器に入れて冷蔵庫で保管すれば長期保存も出来るでしょう
3.その他:注射器(ポンプ)について
・注射器の種類
注射器(針無し)は一般の薬局などでは手に入らないので、かかりつけの動物病院で分けてもらいます。
また、ご近所の動物病院でも事情を話せば購入が出来ますが、カルテなどを作る必要があるかも知れません
前に2ヶ所の動物病院から注射器を譲っていただきました、種類は25・5・3・1ml(cc)の4種類です。
モルモットの給餌用として出してもらったのもので、すべて「テルモ」製で「テルモシリンジ−中口」と
書かれていました。ちなみに先端部の外径はどれも同じです(値段はとても安価です)
それぞれを使用した結果、いちばん大きな25cc用が使い易いようです
左から、25・5・3・1ccの注射器です |
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1ccのものは主に飲み薬を与えるときに使用します
・よくあるトラブル
給餌をするときに、せっかく作った流動食を注射器で吸い取ろうとすると、流動食に入っている細かい
「カス」などが邪魔して上手く吸えない時や、苦労して入れた流動食が給餌のときに詰まってしまい、
出てこない事がよくあります
対策としては、流動食を「ろ過」するのと同時に、注射器を細工することによって、
より快適・短時間で給餌が出来るようになります
「ノーマル」状態の注射器は、その先端の内径を良く見ると先端部分が「細く」なっています
これは、注射器本体がプラスチック製のため、針を装着する際に針部と本体を密着させるため、
先端を「肉盛り」して強度を上げたために細くなっているようです
この状態での先端内径は1.5mmでした(1ccのは1.2mmほどです)
強制給餌では、先端部の強度は必要ありませんので、先端から2mmの所で切り落としてみました
その結果、内径は2.5mm(1ccのは2mm)に広がったので「流動食の詰まり」は、かなり
改善されると思います
なお、切り落とすときには「カッターナイフ」または家庭用の「包丁」を利用します
まな板などの上に注射器の先端部を置き、切り落とす位置に刃を合わせ、上からカッターなどを
「押しながら前後させて」注射器を回転させます
このとき、注射器を持った方の手は力を入れずに、刃で注射器を回転させるようにします。
新品のカッターの場合は、3回転ほどまわすと切り落とせるでしょう
最後に切り口に「バリ」が残っていないかチェックします
−くれぐれも怪我をしないように注意してください−
また、本文で登場した「小鳥用」の給餌器は内径が4mmあるために「詰まり」のトラブルはありません
ただし、注射器のように流動食を「吸い上げる」ことが出来ないため、付属の器で餌をセットします
(流動食よりも粘度のあるものを与えるのに適しているでしょう)
・ここからはちょっとした「改造」になるので、興味のある方はお試し下さい
現在使われている注射器は、1回使用することしか考えられていないため、使っているうちに
動きが硬くなってしまったり、中のラバーが取れ易くなり、最後にはラバーが取り付けてある所から
折れてしまいます
(1ccのものは特に壊れやすいようです)
動物病院で新品が簡単に手に入りますが、上手に改造すれば長い期間使えますのでお勧めです
また、上記で紹介した「小鳥用」給餌器を注射器のように「吸い上げる」ことが出来るように
改造するのも同じ方法で出来ます
・テーブル上で比較的簡単に出来る作業です
・使用する工具は「ノコ歯」と「耐水ペーパー」だけです(ホームセンターで安価で手に入ります)
・使用するパーツは釣具屋さんで売っている「浮き止めゴム」が良いようです(こちらも価格が安いです)
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「ノコ歯」の例。ホームセンターでは1本ずつ売っている場合があります |
1ccの注射器の改造
下図の注射器ケース(注射器の目盛りが書いてあるもの)の後部にある肉盛りを取ります。
これを取り去るのは「耐水ペーパー」で削るのが楽なようです
「世話」のコーナーの「爪の切り方」にあるサブページで耐水ペーパーを紹介していますので、
それと同じものを使用します
削るときは水を張った洗面器などを使い、耐水ペーパーを濡らしたものを細長く丸めます。それを
ケースに挿入して前後にスライドさせたり、回転させて削って行きます
(この時ペーパーを丸めた中心に爪楊枝を入れると楽に削れます)
肉盛りが取れたら、最後は挿入したペーパーを前後にスライドさせて終わりです
(ペーパーを回転させた状態で終わらせると注射器の動きが悪くなるようです)
その次にインナー(注射器のピストン側)を改造します
1)インナーの先端から1mmのところに「ノコ歯」を使って1mm幅くらいの溝を作ります
(深さはそれほど深くなくてもいいようです)
2)その幅と同じ長さに「浮き止めゴム」を輪切りして、溝にセットしましょう
3)それをケースに入れますが、ゴムが邪魔して入らないときは溝の深さが足りないので、ゴムを外した後に「ノコ歯」で溝を削って深くします。この時に力を入れすぎると、せっかく作った溝の部分から折れてしまうので少しずつ削ります
4)再びゴムをセットし、シリンダーに入るか様子を見ます
5)軽くシリンダーに入るまで3)−4)を繰り返します
出来あがったら、さっそく水を吸い上げられるがテストします。もし、溝を深く削りすぎてしまったら
満足に吸い上げられないでしょう
このときは一度ゴムを取り外し、溝に「絹糸」のような細めの糸を巻きつけて
「溝の深さ」を調節します
下が「インナー」で
その先端にゴムを摂り付けます |
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「浮き止めゴム」釣具屋さんによっては長い状態で売られている時があります |
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また、先ほど登場した「小鳥用」の給餌器もインナーを同様に改造する事によって「吸い上げる」ことが
出来るようになります
ただし、1)の所の溝幅は2mmくらいが良いでしょう(溝深さも深くします)
「小鳥用」のインナーを改造した部分
ゴムの幅を上のものより広くします |
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また、5ccや25ccの注射器は使用していくうちにピストンの動きが硬くなり、給餌するのに腕が疲れてくることがあります。
そのときは写真のようにラバー先端部の「出っ張り」をハサミなどでカットすることにより動きがスムースになります
上がオリジナルです。出っ張りが2ヶ所ありますので
下のように先端部の方の出っ張りをカットしましょう |
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